火災時に火より怖いもの!?

火災では、火の怖さとともに大量に発生する煙の怖さが大惨事を招いています。
1972年(昭和47年)5月に起きた大阪の千日デパートでは、窓から飛び降りた24名の内22名が全身挫傷や頭蓋骨骨折などで死亡されたのに対し、飛び降りなかった客、96名が一酸化炭素中毒で窒息死されました。
1973年(昭和48年)11月に起きた熊本の大洋デパートでは、103人が死亡、124人が重軽傷を負う大参事となりました。
これらの火災ではその大半が有毒な煙による中毒や窒息が原因でした。

西日本新聞経済電子版 大洋デパート火災

横浜市消防局 煙との戦い

このような大火災を機に、建築基準法や消防法などの法律が改正されています。特殊建築物への安全な退避経路の確保や迅速に消火活動を行えるようにするために、建築基準法と消防法のなかで義務付けられています。

①自然排煙方式

窓や、ガラリ(外部に対して目隠しをしながら換気ができるように、ドアや窓などにもうけた通気口のこと。)などで出火したら開放して排煙します。長所としては排煙機がないため電源が不要で、仮に地震によって停電が起こった場合でも排煙が可能です。排煙の性能としては高いとは言い難いですね。

②機械排煙方式

排煙機によって煙を排出する方式で、排煙口・排煙ダクト・排煙機などで構成されています。排煙口を開くと、同時に排煙機が起動し排煙が行われます。長所としては外に面していない部屋でもダクトによる排煙ができることです。また、排煙機により必要な排煙風量を設定し、確保することもできます。

③加圧排煙方式

送風機によって、外気を室内に押し込んで圧力を高め、煙を押し出す方式です。加圧された区画は圧力が高いため煙が入りにくくなり、非常階段や通路など避難上の安全性を一層高めた新しい防煙システムです。